第33回(社)日本病理学会関東支部学術集会(第127回東京病理集談会)
一般演題 抄録・Virtual Slide提示
2006年12月9日
東京大学医学部・鉄門講堂
Presented by
Department of Pathology, The University of Tokyo
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【操作方法】
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症例1 (No.793) 縦隔原発と考えられた腺癌の一剖検例

前田大地1),2), 深山正久2),森正也1)
1) 三井記念病院病理部 2) 東京大学大学院医学系研究科・医学部 人体病理学・病理診断学 

【症例】56歳男性。起座呼吸を主訴に受診。精査の結果、縦隔腫瘤、両側副腎腫瘤を認め、上大静脈症候群を合併していた。縦隔生検にて腺癌と診断された。臨床的には肺癌が疑われ、化学療法、放射線照射を施行したが腫瘍は増大傾向にあった。右房内腫瘤の増大をきたし死亡した。
【剖検所見】気管と上行大動脈の間に主座があり、上大静脈を巻き込んで右房に浸潤する15x7x6.5cm大の腫瘍を認めた。頭側は大動脈弓、胸腺下端部に及んでいた。腫瘍の境界は比較的明瞭。肌色から淡褐色、弾性硬で中心に壊死を伴っていた。組織学的には管状、索状、あるいは篩状構造をとって増殖し、一部粘液産生を伴う腺癌を認めた。心外膜、両側副腎、左第8肋骨、縦隔リンパ節、気管周囲リンパ節、気管分岐部リンパ節への転移を認めた。
【問題点】本症例は前縦隔原発と考えられる腺癌であり、胸腺に生じた腺癌と考えた。胸腺原発のnon-papillary adenocarcinomaは稀であり、それに相当するものでよいか、ご意見を伺いたい。
【供覧標本】
縦隔腫瘍

症例2(No.794) 乳糜胸水のコントロール不良により突然死をきたしたMediastinal lymphangiomatosisの一剖検例

井野元智恵1),4),中川知己2),山下智裕3),安田政実1), 長村義之1)
1) 東海大学医学部基盤診療学系病理診断学 2) 同外科系胸部外科学 3) 同基盤診療学系画像診断学 4) 伊勢原協同病院検査科

【症例】14歳、女性。死亡15ヶ月前より仰臥時の呼吸困難が出現。寛解・増悪を繰り返しながら徐々に悪化したため、約9ヶ月前に来院。胸部レントゲン写真にて著明な心拡大を認め、造影CTにて多量の心嚢液貯留と縦隔腫瘍が確認された。心嚢ドレナージ術を施行し、約8lの排液を認めた。縦隔腫瘍の生検にてmediastinal lymphangiomatosisと診断された。死亡約8ヶ月前から乳糜胸水が出現し、中鎖脂肪食や胸腔ドレナージ、胸管結紮術、胸膜癒着術、放射線療法などで胸水のコントロールを図ったが改善なく、死亡1ヶ月前から一日で7リットル以上の乳糜様胸水の排出が続いた。胸水貯留を除き全身状態は安定していたが、突然の意識レベル低下、心肺停止となり死亡された。
【病理所見】病変部はリンパ管の増生からなり、縦隔を主体として壁側胸膜に及んでいた。またリンパ管の拡張からなる病変が肝、脾、甲状腺、副腎、肺、腎、回腸、膵臓、心臓およびリンパ組織と全身に及んでいた。
【問題点】1) 診断はlymphangiomatosisでよいか
2) リンパ管の拡張病変はlymphangiomatosisによる2次性の変化と考えてよいか
3) Lymphangioleiomyomatosis(LAM)やGorham病との鑑別
【供覧標本】
1)肺縦隔
2)腸間膜リンパ節

症例3 (No.795) アミオダロン投与歴のある弁膜症患者に見られた肺腫瘤・糸球体腎炎

木村徳宏1)、片山隆晴2)、吉川勉2)、山田健人1)、倉持茂1),3)、岡田保典1)
1) 慶應義塾大学医学部病理学教室 2) 慶應義塾大学医学部循環器内科 3) 独立行政法人国立病院機構東京医療センター研究検査科

【臨床経過】60歳代の男性。25年前にリウマチ性大動脈弁狭窄症に対し弁置換術を行われている。7年前(術後18年)の時点で心不全・心房細動・非持続性心室頻拍を認め、抗不整脈薬アミオダロンの内服治療が開始された(アミオダロン200 mg/dayを以後継続)。今回、呼吸苦を主訴に来院しX線上胸水を認め入院となった。入院後、利尿薬による治療で一度改善傾向を示したが、発熱を契機に心不全が増悪、全身状態の悪化を認めた。その後心室頻拍の出現から心停止に至り死亡した。剖検時の検索事項として、今回入院時の胸部CTで右肺S8に径1 cmの腫瘤を認め(PETにて集積あり)肺癌が疑われること、また死亡の1年前から蛋白尿(最大2.8 mg/day)が見られたことが挙げられた。
【剖検所見】リウマチ性と考えられる僧帽弁膜症と心拡大を認めた。右肺S8にはマクロファージ貯留を伴う病変(径1.5 cm)が見られ、両側肺に類似の斑状病変の多発を認めた。腎には膜性腎症の所見を認めたが、足細胞の著明な腫大を伴っていた。
【問題点】1) 肺はアミオダロンによる病変と考えてよいか。
2) 腎病変と原病との関連は。
【供覧標本】
1)右肺S8
2)腎

症例4 (No.796) 同一腫瘤に多段階の悪性化像の見られた神経線維腫の剖検例

菅野雅人1),相田久美1),2),飯嶋達生1),2),稲留征典1),3) 森下由紀雄1),3),坂根正孝4),落合直之4),野口雅之1),2)
1) 筑波大学附属病院 病理部 2) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 基礎医学系 分子病理学・診断病理学 3) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 臨床医学系 分子病理学・診断病理学 4) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 臨床医学系 運動器系制御医学分野

【症例】神経線維腫症I型の22歳男性。左手指の痺れで発症、その後左頚部に腫瘤を生じた。生検の結果、腫瘍は原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)と診断され、化学療法や放射線照射が施行されたが奏功せず腫瘤は増大、脊髄内に進展し、約6ヶ月の経過で死亡に至った。
【剖検所見】腫瘤に連続する腕神経叢に、神経幹と考えられる著しく肥厚した索状物が認められ、組織学的に同部位に神経線維腫の組織が見られた。また、腫瘤では壊死による変性も強く見られるものの、PNETの組織に加えて、悪性末梢神経鞘腫瘍や、その部分像として悪性Triton腫瘍と考えられる像も認められた。これらの腫瘍組織では、神経線維腫と連続する部分で互いに移行するような像も見られた。
【問題点】本症例で見られた各種の腫瘍組織と神経線維腫との関連について。
【供覧標本】
腫瘍組織2個


症例5 (No.797) 特徴的な血管内構造の見られた抗リン脂質抗体症候群の剖検例

加治一毅1),牛久哲男2),深山正久1)2)
1) 東京大学大学院医学系研究科・医学部 人体病理学・病理診断学 2) 東京大学附属病院病理部

【症例】64歳女性。50代半ば、腹水貯留にて発症。精査にて光線過敏、抗核抗体(抗ds-DNA抗体, 抗Sm抗体)陽性、汎血球減少、腎不全が認められ、SLEと診断。加えて多発性肺梗塞、脾梗塞が確認され、抗リン脂質抗体症候群の診断となる。以降、腹水貯留、呼吸困難にて入退院を繰り返す。 死亡90日前、胸水貯留が悪化し入院。利尿剤、胸膜癒着術など行うも、コントロールは不良。70日前より消化管出血あり、対症的に治療するも出血は持続。腔水貯留と出血に伴う循環不全を契機として多臓器不全に至り、死亡となった。
【剖検所見】門脈本幹をはじめ、諸臓器の血管内に、種々の程度の器質化を伴う血栓や内膜肥厚などが認められた。また、肝、肺には血管内腔の網様構造が随所に認められ、再疎通像と考えた。消化管の出血源として、食道静脈瘤及び直腸潰瘍が確認された。
【供覧標本】
1)肺
2)肝

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