膀胱TUR-Bt検体の報告様式の検討

東京大学医学部付属病院泌尿器科にて膀胱がんのため経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)を受けられた方及びそのご家族の方へ

当院では異なる施設から収集された病理組織デジタル画像を用いて病理診断を行い、複数の病理医で意見が異なった場合に協議することができるようなシステムの開発に参加しています。この開発はIn vicro社(アメリカ合衆国マサチューセッツ州)が主導して進めています。本システムは将来的に、薬剤の臨床試験の対象となった患者さんの病理組織画像を集約して診断するために活用することを想定しており、今回の研究開発はその予備段階の検討と位置付けています。

研究課題

膀胱TUR-Bt検体の報告様式の検討(審査番号2022086NI)

研究機関名及び本学の研究責任者氏名

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
研究機関東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学
研究責任者牛久哲男人体病理学・病理診断学教授
担当業務標本の収集と画像の提供、病理学的評価

共同研究機関  

主任研究機関 Invicro,LCC
 研究責任者 Ken Bloom,Chief Medical Officer
 担当業務 研究統括
研究機関 University of Rochester(アメリカ合衆国)
 研究責任者 Hiroshi Miyamoto,Professor
 担当業務 標本の収集と画像の提供、病理学的評価
研究機関 University of Pennsylvania (アメリカ合衆国)
 研究責任者 Priti Lal, Associate Professor
 担当業務 標本の収集と画像の提供、病理学的評価
研究機関 University of Thessaly (ギリシャ共和国)
 研究責任者 George Koukoulis, Professor
 担当業務 標本の収集と画像の提供、病理学的評価

この研究に利用する試料、資料・情報は共同研究機関の範囲のみで利用されます。

研究期間

承認日~2022年12月31日

対象となる方

2010年1月1日~2021年12月31日の間に当院泌尿器科で膀胱癌に対して経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)を受けた方。

研究の意義と目的

本研究の目的は、臨床試験で収集した病理スライドを用いて病理診断を行い、矛盾した病理診断結果が出た場合に協議することを目的とした、安全性が高く集約化されたデジタル病理システムを開発することです。このようなシステムを開発することにより、臨床試験で薬剤の投与を受けた患者さんの病理画像データを集約して診断し、より効果的に治療効果などを評価できるようになることが期待されます。

研究の方法

東京大学医学部附属病院病理部で診断した浸潤性膀胱癌の膀胱TUR-Bt(5症例)の全てのガラススライドをスライドスキャナーで撮像し、デジタル化します。撮像した画像及び年齢、性別の情報を、Invicro社のシステムを経由してサーバーへ電子的にアップロードします。東京大学を含む3機関から5検体ずつ、合計で15症例のTUR-Bt検体について、サーバー上の病理画像を各機関の病理医が観察し、Invicro社が構築した手順に沿って病理診断報告を行います。全ての症例について診断の一致、不一致に関して各研究分担機関の病理医が集まり検討を行います。
提供いただいた情報は、共同研究機関であるInvicro LLC (アメリカ合衆国)、University of Rochester (アメリカ合衆国)、University of Pennsylvania(アメリカ合衆国)、University of Thessaly (ギリシャ共和国)と共有し、解析を行います。研究対象者の皆さんのお名前等が、他機関に伝わることはありません。
なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。
これまでの診療でカルテに記録されている年齢、性別の情報及び作成済みの病理組織標本を収集して行う研究です。特に研究対象者の皆さんに新たにご負担いただくことはありません。

個人情報の保護

この研究に関わって収集される病理画像・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
収集した病理組織標本や年齢、性別の情報は、解析する前にあなたの個人情報とは一切連結できないように匿名化した上で、パスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。そのため、同意を取り消すこと、研究への参加を取りやめることはできません。
Invicro社のサーバーへアップロードするのは匿名化された後の情報のみであり、個人情報を提供することはありません。
研究の成果は、Invicro社から製薬企業へ提供する可能性がありますが、提供されるデータにあなたの氏名等の個人情報が含まれることはありません。
収集したデジタル化病理画像やデータ等は厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。保管期間終了後には、復元できない形でハードディスクやInvicro社のサーバー上のデータを削除することで廃棄します。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。
本研究の結果として知的財産権等が生じる可能性がありますが、その権利は研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの特許権等を持ちません。また、その知的財産権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学大学院医学系研究科・医学部長の許可を受けて実施するものです。
この研究に関する費用は、Invicro社の受託研究費から支出されています。
本研究は、Invicro社より受託研究費の提供及び病理スライドスキャナーの貸与を受けて実施いたしますが、東京大学医学部利益相反アドバイザリー機関に報告し、利益相反マネジメントを適正に行っています。研究の実施や報告の際に、Invicro社に都合のよい成績となるよう意図的に導いたりすることはありません。
尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。

                                                                               2022年7月

 

問い合わせ先

研究責任者:牛久哲男(うしくてつお)
連絡担当者:阿部浩幸(あべひろゆき)
〒113-0033東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学
電話:03-5841-3341 FAX:03-3815-8379
e-mail:usikut-tky@umin.ac.jp