医療機器プログラムとしての実装化を見据えた胃・大腸生検AIモデルの開発

東京大学医学部付属病院にて胃生検・大腸生検を受けた方およびそのご家族の方へ

 東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学教室では胃生検・大腸生検の病理組織画像から腫瘍性病変の有無などを推定し病理診断支援を行う人工知能(AI)の開発に取り組んでおります。この研究の対象者に該当する可能性がある方で、ご自身の病理画像や診療情報等を研究目的に利用または提出されることを希望されない場合は2022年5月1日までに末尾に記載の問い合わせ先までご連絡ください。

研究課題

 医療機器プログラムとしての実装化を見据えた胃・大腸生検AIモデルの開発(審査番号2021361NI)

研究機関名及び本学の研究責任者氏名

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
 主任研究機関 東京大学大学院医学系研究科・人体病理学・病理診断学教室
 研究責任者  牛久 哲男 人体病理学・病理診断学教室 教授
 担当業務   画像収集・匿名化・AIモデル評価

共同研究機関  

研究機関   東京大学先端科学技術研究センター 
  研究責任者  原田 達也 (教授)
  担当業務   AIモデル構築
研究機関    国立情報学研究所 医療ビッグデータ研究センター
  研究責任者 森 健策 (センター長)
  担当業務  クラウド基盤の管理・AIモデル構築

研究協力機関  

一般社団法人 日本病理学会 北川昌伸 理事長
 担当業務:先行する研究課題(後述)で収集した病理画像データの提供
メドメイン株式会社 飯塚 統 代表取締役
 担当業務:病理画像管理クラウドシステム(Pidport)の提供
PSP株式会社 依田 佳久 代表取締役
 担当業務:病理画像管理クラウドシステム(NOBORI)の提供
この研究に利用する情報は共同研究機関の範囲のみで利用されます。

研究期間

承認日~2026年12月31日
 本研究は長期にわたる研究を計画しています。記載の研究期間終了後も継続する場合は、研究期間延長の申請を行う予定です。

対象となる方

 2010年1月1日 ~ 2021年12月31日の間に当院で消化管内視鏡で胃・大腸の生検が行われた方。未成年の方は対象外です。

研究目的・意義

 我々の研究室では先行する研究課題(AI等の利活用を見据えた病理組織デジタル画像(WSI)の収集基盤整備と病理支援システム開発:審査番号11603)において、胃生検及び大腸生検の病理組織画像から腫瘍の有無を判定するAIモデルを作成し、感度・特異度95%前後の良好な結果を得ました。本AIモデルの更なる精度向上を図るとともに、プログラム医療機器としての薬事承認取得を目指し、研究開発を行います。

研究の方法

 胃・大腸生検の病理組織標本を特殊な装置(バーチャルスライドスキャナー)を用いてデジタル化します。デジタル化した病理画像(whole slide image, WSI)(自施設及び研究協力機関から収集したもの)は、匿名化した上でハードディスク等の可搬媒体を用いて国立情報学研究所にセキュリティ便等のセキュリティの高い方法で郵送され、同研究所のクラウド基盤に格納され、データベース化されます。国立情報学研究所及び東京大学先端科学技術研究センター(先端研)のAI研究者がクラウドにアクセスし、AIモデルの作成・検証を行います。検証結果は人体病理学教室の病理医によって再評価され、AI改善のために必要なフィードバックをAI研究者に行い、AIの性能改善を図ります。
 対象となる人数は 全体で10000 人、東京大学からは 新たに2000 人を予定しています。
 本研究はこれまでの診療で得られた病理標本をデジタル化した病理画像を収集して行う研究です。特に研究対象者の皆さんに新たにご負担いただくことはありません。
 なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。

個人情報の保護

この研究に関わって収集される病理画像は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
収集した病理画像は、解析する前に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにします(このことを匿名化といいます)。匿名化した上で、パスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。また収集した病理画像は、匿名化された状態で国立情報学研究所に送られ解析・保存されます。本研究では東京大学の患者さんの病理画像とともに、先行する研究課題(AI 等の利活用を見据えた病理組織デジタル画像(WSI)の収集基盤整備と病理支援システム開発:審査番号11603)で収集した他医療機関の病理画像も用います。国立情報学研究所ではセキュリティの高いクラウド基盤で病理画像を厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行うこともできます。
 この研究のためにご自分(あるいはご家族)の病理画像を使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の問い合わせ先に2022年5月末日までにご連絡ください。研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。
 ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせていただきます。
 研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌で公表します。
 収集した病理画像は厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。保管期間終了後には、当研究室のパソコンや国立情報学研究所のクラウド基盤から復元不可能な形で削除することで廃棄します。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。
 本研究の結果として知的財産権等が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの知的財産権等を持ちません。また、その知的財産権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。
 この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
 この研究に関する費用は、東京大学大学院医学系研究科の人体病理学・病理診断学教室の運営費から支出されています。
 本研究は、PSP株式会社及びメドメイン株式会社より病理画像管理システム(クラウド)の提供を受けて実施いたしますが、研究資金の提供は受けません。東京大学医学部利益相反アドバイザリー機関に報告し、利益相反マネジメントを適正に行っています。結果の解析は東京大学の研究者が行い、企業は関与しません。研究の実施や報告の際に、PSP株式会社及びメドメイン株式会社に都合のよい成績となるよう意図的に導いたりすることはありません。PSP株式会社及びメドメイン株式会社とは共同研究契約書を締結していますが、両社の役割は病理画像管理システム(クラウド)の提供のみで、データの授受も無いため、研究協力者として記載しています。
 尚、あなたへの謝金はございません。
 この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。

2023年4月

問い合わせ先

研究責任者:牛久哲男 (うしくてつお)
連絡担当者:阿部浩幸 (あべひろゆき)
〒113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1
東京大学大学院医学系研究科・医学部 人体病理学・病理診断学教室
電話:03-5841-3341(内線23341)  FAX:03-3815-8379
e-mail:usikut-tky@umin.ac.jp