人工知能等の利活用を見据えた病理組織デジタル画像(P-WSI)の収集と病理支援システム開発研究

当院にて病理診断を受けられた方へ研究協力のお願い

研究課題名

人工知能等の利活用を見据えた病理組織デジタル画像(P-WSI)の収集と病理支援システム開発研究(11603)

はじめに

東京大学医学部附属病院病理部では、当院を受診され、病理組織検体を採取させていただいた方を対象に、標本を作製し、患者さんの病理診断を行っております。病理組織標本は患者さんの病変のある部分から直接採取されるものであるため、画像検査や血液検査等の他の手段では得られない様々な情報を知ることができます。
これらの情報を元に研究を行うことは、各種の疾病に対する知見を深める上で非常に重要です。
当院病理部、及び東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学教室では、一般社団法人日本病理学会の主導のもと、National Clinical Database(NCD)、国立情報学研究所、東京大学情報理工学系、名古屋大学情報連携統括本部、九州大学システム情報科学研究院情報知能工学部門等と共同し、当院で病理組織診断を受けられた患者さんの病理組織デジタル画像(Pathology-Whole Slide Images : P-WSI:病理組織の顕微鏡観察のためのプレパラート・スライドグラスをバーチャルスライドスキャナーという特殊な機器でデジタル化した病理組織画像)を用いて以下のような研究を行います。

研究機関

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。

  • 研究代表機関 一般社団法人 日本病理学会
  • 研究代表責任者 日本病理学会理事長 北川昌伸
  • 担当業務 病理組織デジタル画像収集基盤構築・画像アーカイブ化・病理診断支援ツール開発・人工知能病理(自動)診断ツール開発/研究統括
  • 研究分担機関 東京大学医学部附属病院病理部・東京大学医学部大学院医学系研究科 人体病理学・病理診断学分野
  • 研究分担責任者 東京大学医学部大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野 准教授 牛久哲男
  • 担当業務 病理デジタル画像の登録・アーカイブ化・人工知能開発助言

*なお研究参加機関は36機関に上ります。詳細に関しては、一般社団法人日本病理学会のホームページをご参照ください。

研究期間

2017年4月1日から2021年3月31日
資料5

研究の対象者

2007年1月~2018年9月に東京大学医学部附属病院で病理組織診断を受けた患者さん。

研究の背景・意義

現在日本では、疾患の最終診断をおこなう病理医が不足しております。このために、病理医が不在である病院や、1人しか勤務していない病院が全国に多数存在しており社会問題となっております。一般社団法人日本病理学会では2年ごとに「国民のためのよりよい病理診断に向けた行動指針」を公開し、これらの問題解決に取り組んでおりますが、近年、技術の進歩に伴い、P-WSI を転送しての遠隔病理診断が可能となっており、病理医不在病院等にかかった患者さんが、病理診断を受けることができないという不利益が解消される体制が構築されつつあります。これに伴い、個々の施設で保有しているP-WSIは全国の主だった施設のみの合計で、約100万症例となっております。
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援により、一般社団法人日本病理学会の主導のもと、全国に散逸するP-WSIを病理学会のクラウドサーバに集約化し、そのビッグデータを活用して、国民のためのより良い病理診断につながる病理診断支援ツールの開発研究や、希少がんなどを含む病理診断生涯教育ツールの開発研究をNCDと共同で行い、さらに、前述の人工知能開発研究機関との共同研究により病理診断ツールの開発を行うオールジャパン体制での医学研究になります。
また、本研究には、同じく国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援のもと、日本医学放射線学会および日本消化器内視鏡学も学会としてオールジャパンで参画しており、将来的には3 学会の「画像」を集約、連携してより精度の高い、患者支援につながる診断ツールを開発するという、これまでに世界的にも類を見ない3学会主導・3学会連携の医学研究も計画されております。人工知能開発には世界的コンペティッションで複数の優勝者を輩出している、国立情報学研究所、東京大学情報理工学系、名古屋大学情報連携統括本部、九州大学システム情報科学研究院情報知能工学部門等も参加して、国を挙げて行う研究になります。
病理部門の研究は、日本病理学会の主導のもと、全国で複数の大学病院、市中病院、日本病理学会7支部等が参加して行われますが、その分担研究機関の1つとして当院病理部および当大学医学部人体病理学教室も参加
いたします。

研究の目的

当院病理部に保存されているP-WSI を、日本病理学会の病理組織画像収集クラウドサーバに登録し、病理診断支援ツール,人材育成のためのe-ラーニング等の病理診断生涯教育支援ツール,アーカイブ化事業,および人工知能を活用した病理診断技術の研究開発を行い、疾患の最終診断である「病理診断」で、よりいっそう国民の医療に貢献できる体制を構築することを目的に研究いたします。さらに、日本医学放射線学会および日本消 化器内視鏡学会が集約化する「画像」とも連携して、国立情報学研究所等の協力のもと、画像を用いたより精度の高い診断支援ツールの開発を行うことを目的とします。なお、本医学研究によって得られる成果は、広く国民の医療に貢献することが期待されます。

研究の方法

東京大学医学部附属病院に保管されているP-WSIを、セキュリティの保たれたネットワーク回線を使用して、日本病理学会のクラウドサーバ上に登録いたします。登録するデータは、①生年月日、②検査時年齢、③性別、④施設での患者ID、⑤臓器名、⑥採取法、⑦検査日付、⑧病理番号(標本番号)、⑨臨床診断、⑩臨床情報、⑪病理診断、⑫病理所見(フリーテキスト)、⑬画像(WSI)になります。患者が直ちに特定できる個人名は登録いたしません。また、本研究には未成年者は含まれません。登録に使用するコンピュータは登録専用のパソコンを使用し(東京大学医学部附属病院病理部に本研究のために設置)、ID、パスワードで管理された、上記パソコンに接続した専用のゲートウエイ端末(iCOMBOX)を用いて、ゲートウエイ制御サーバに登録いたします。ネットワーク回線はセキュリティの保たれた学術情報ネットワークSINET5を用い、情報を登録・保管するクラウドサーバも厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を含む3 省4 ガイドラインを遵守したサーバを使用いたします。さらに安全面強化のために、クラウドサーバ上の保管データは自動的に「匿名化かつ秘密分散化(ジグソーパズルのピースのように細分化)」され、個人が特定されない状態で保管されます。
本研究においては「要配慮個人情報」を登録いたしますが,本研究は発展的に日本医学放射線学会、日本消化器内視鏡学会との3 学会連携研究となることが決定しており、それぞれの学会が保有している患者情報、画像情報を正確に統合するために生年月日や施設ID を使用するものです。3学会連携により、より精度の高い、患者医療に貢献できる診断システム開発が可能になると考えます(なお、国立情報学研究所で人工知能開発を行う際には、生年月日、患者ID などの要配慮個人情報の提供は行いません)。
本研究は、一般社団法人日本病理学会倫理委員会および東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学大学院医学系研究科・医学部長の許可を受けて実施するものです。これまでの過去の診療記録、及び通常の病理診断後の組織標本(プレパラート)を対象として行われますので、特に患者さんに新たにご負担いただくことはありません。患者さんご本人の診療内容には全く影響を与えませんし、不利益を受けることもありません。
研究にあたっては、個人情報保護には十分に配慮いたします。研究結果及び成果を学会や論文で結果を発表する際には、個人の特定が可能な情報は全て削除されます。収集したデータは厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。
この研究に関して不明な点がある場合、或いはデータの利用に同意されない場合には、以下にご連絡頂きたいと存じます。ご家族及び後見人の方からのご連絡も承ります。なお、本研究は当院の倫理委員会の承認を得ております。また、ご自身の検体の研究への使用をお断りになった場合でも、将来にわたって患者さんが当院における診療上の不利益を被ることはありませんので、ご安心ください。
本研究に関する費用は、国立研究機構日本医療研究開発機構(AMED)から支出されています。本研究に関して開示すべき利益関係はございません。
なお、あなたへの謝金等はございません。

問い合わせ先

東京大学医学部附属病院病理部
部長・准教授 牛久哲男(うしくてつお)
住所:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-3815-5411(内線30641) FAX:03-3815-8379
Eメールでのお問い合わせ:usikut-tky[at]umin.ac.jp ([at]を@に置き換えてください)