泌尿器腫瘍の病理学研究

主な担当メンバー:美山優、宮川仁平(泌尿器科大学院生)

尿路上皮癌において免疫微小環境は腫瘍進展に大変重要であるとされています。現在、進行性尿路上皮癌に対し免疫チェックポイント阻害薬が使用されていますが、奏効率は高くなく、治療効果予測因子が模索されています。私たちは、免疫チェックポイント阻害薬を使用する前の患者さんの検体を用いて各種炎症細胞浸潤やProgrammed cell death- ligand 1 (PD-L1)発現の程度について免疫組織化学的手法を用いて調べ、治療効果予測因子を同定しようとしています。また、腎尿管全摘術を行った上部尿路上皮癌の患者さんでは、術前の血中血小板数と腫瘍PD-L1発現に交互作用がみられることがわかり1、血算や生化学データといった宿主側の因子にも焦点をあてて解析しています。

図1. 蛍光多重染色を用いた炎症細胞浸潤の評価

本症例では、腫瘍PD-L1発現の高い領域(写真左側)に一致してPD-1, CD8陽性細胞が多いことがわかります。
PD-L1: Programmed cell death-ligand 1
PD-1: Programmed cell death-1
CK: Cytokeratin

<参考文献>

  1. Miyama Y, Morikawa T, Miyakawa J, et al. The prognostic value of PD-L1 expression in upper tract urothelial carcinoma varies according to platelet count. Cancer Med. 2018; 7(9): 4330-8.